西村 志郎さん
某部品メーカーに勤め社内SEを経験された後、現在は営業関連の後方支援を担当している西村さん。kintone ユーザー向けのオンラインコミュニティ「キンコミ」でも圧倒的な存在感で、いつも周囲のユーザー様に手を差し伸べてくださっています。今回はそんな西村さんのコミュニティに対する思いや今後の展望についてお聞きしました。
“他製品と協調できる”kintoneの良さを、現場目線で社内に伝えた
現在は営業業務グループに所属し、営業関連の後方支援や総務的な仕事を担われている西村さん。kintoneを導入する以前から、サイボウズの製品や文化について知ってくださっていたそうです。
「kintoneに出会う以前は、サイボウズ製品のGaroonを利用していました。当時関西でサイボウズさんが主催するユーザー会があったのですが、とても楽しく参加していました。その頃はパッケージ版を利用していましたので、移行の方法やバックアップの取り方などをユーザー同士の交流を通して学びました。Garoonを利用していたこともあり、kintoneの存在はリリース当初から知っていました。」
営業支援ツールとしてkintoneの導入を決め1人担当者として社内に活用を促すものの、最初の1年間はなかなか浸透しなかったそうです。まずkintoneの良さを伝えるのが難しかったとおっしゃいました。
「初めは社内向けのプレゼンで、kintoneの基本機能やプラグインについて説明を行いました。機能としての良さはすぐに納得してもらえましたが、実際に自分たちの業務でどのように使えるのかをすぐには理解してもらえませんでした。話を聞いていくうちに、社員はkintoneが現場でどのように使えるのか、導入して業務がどのように改善されるのかを具体的にわかる形で知りたいということ、最初はそこをわかっていませんでした。自分は元々システム部門出身で、機能の説明をしたら現場での利用方法やアイデアも勝手に出るだろうという思い込みがありました。また営業経験がないまま現在の部署に異動したので、そもそも営業の仕事の進め方を分かったつもりになっていただけだったということに気づかされました。」
社内から様々な意見がある中で、西村さんはkintone導入を実現させるためにメッセージの伝え方も工夫をしていたそうです。
「特にkintoneの機能が他ツールと競合する場合は、社内で導入に対して反対意見が挙がることもあります。私は何にでもなれるのがkintoneの良い所だと考えています。そのため、他ツールと競合する製品ではなく、協調する製品だという点を意識して伝えていました。」
営業部内で活用が浸透しないまま、突如としてコロナ禍になりました。全社でテレワーク環境を整え始めたことがきっかけで、社内のkintone導入に対する風向きが大きく変わり始めます。
「テレワークを開始するにあたり、営業業務グループ以外の部署では情報共有ツールを何にすべきか議論がなされました。一方で営業業務グループ内では、せっかくなのでkintoneでコミュニケーションを取ることにしました。その際にkintone エバンジェリストである松田さんの『テレワーク管理アプリを作ってみる』という動画を参考にしながら一日でアプリを作成し翌日からさっそく運用開始、またその取り組みを社内で紹介しました。そうすると思った以上に反応が良く、全社的にkintone導入を促進していこうとなりました。」
下積み経験が運を引き寄せ、社内浸透を実現できた
全社で導入を開始すると、自らの意欲でkintoneについて学びアプリを作成するなど、積極的な社員が数名現れたそうです。社内からの反応に変化がある中、kintone導入を担当する立場としての西村さんの寄り添い方にも変化があったそうです。
「営業業務グループ内でkintoneを導入する際に、いくら自分が機能の良さをアピールしても本人達に手を動かして使ってもらわないと浸透は不可能だと学びました。従来のシステム開発といえば、利用者の希望を聞いてシステム部門が開発するという流れ、でもそれと同じやり方では違う結果は得られないと気づきました。そこで、主体的にkintoneに触れてもらう方法へと変更しました。kintoneは使いたい人、使える人が主体となって広まっていけば良いと思っています。強制したとしても、その人自身が楽しいと感じなければ続きません。でもただ勝手にやってもらうのではなくて、興味を持ってくれた人に対しては全力でサポートします。例えば作りかけのアプリに対してコメントでいいね!と言ってみたりしました。こういった部分の支援はとても大事だと思います。」
結果的に全社でのkintone導入に成功された西村さんですが、成功の要因について次のように語っていただきました。
「第一に運が良かったことです。所属部署でkintoneを導入するために下積みをしていた所、予期せぬタイミングでテレワークの社内展開が始まり、それを機に全社で導入することとなりました。この時に社内の風向きが大きく変わりました。
第二に、kintoneが周りに認められていない間もあきらめずに勉強し知識を身に着けていたことです。この準備があったからこそ、必要な場面でkintoneの良さを伝えることができ、全社導入に成功したのではないかと思います。」
導入後から現在に至るまでkintoneを利用してくださっている西村さん。具体的にどういった部分に魅力や可能性に感じているのか聞いてみました。
「kintoneの良さは“変わらないこと”だと思っています。kintoneの基本仕様はリリース当初から大幅には変わっていません。これはシステムを管理・運用するユーザーにとって、ある意味メリットだと思っています。なぜならインフラとなるシステムは長く安定的に使えることが大前提だからです。新機能の名目で仕様が頻繁に変わると、システム担当者としては今ある機能がいつまで利用できるのか保障されないので怖くて利用できないと感じてしまいます。これは新機能が不要といっているのではありません。もちろんkintoneは毎月アップデートされてどんどん便利になっていますが、その場合も、過去の資産に影響が及ばないよう最大限の努力をされている様子、サイボウズさんの『情報インフラを守る』という企業姿勢が見て取れるので、安心して利用することができます。
またkintoneのもうひとつの魅力は、やろうと思えば何でもできる・間口を広げてくれているシステムだということです。カスタマイズなど、自分次第でどんどんできることが増えていきます。だからこそ仕事でも色々なアイデアが思いつきます。」
「誰かがきっと助けてくれる」というコミュニティの安心感がkintone導入を決意する後押しとなった
現在、kintoneコミュニティ「キンコミ」でも抜きんでた存在感を放つ西村さん。そんな西村さんですが、kintoneを導入するきっかけにも、ご自身のコミュニティに関する原体験が関係していたそうです。
「もともとサイボウズ製品を利用していた経験もあり、サイボウズさんなら大丈夫、信頼できると思いました。またGaroon時代にユーザー会に参加していた経験もあり、kintoneにもユーザー同士が交流し共に学べるような場所があるのだろうと想像していました。そのため、分からない事があっても誰かがきっと助けてくれるだろうと、そういった安心感を抱いていました。」
西村さんがコミュニティの存在を知ったきっかけ、また西村さんの考えるコミュニティの良さについて教えていただきました。
「キンコミの存在は2020年のkintone hive tokyoをきっかけに知りました。キンコミを知ってからはすぐに自ら発信を始めました。なぜ抵抗なく発信できたかと言うと、過去の経験からコミュニティに好印象を持っていたからです。SNSだと対象が広すぎますが、キンコミのようにある程度閉じた環境であればその分コアな話もできます。また自分が発信すればするほど、情報が得られるのもコミュニティの良さです。検索に引っかからないような面白い答えを、雪だるま式に得ることができます。現在はkintoneエバンジェリストとして、他のユーザーさんにコミュニティの良さを体感していただけるように働きかけています。特に初めて投稿してくださった方が雰囲気を把握しやすいように、悩みに対して慎重にアドバイスをし、共感の想いをきちんと伝えるようにしています。」
kintoneを“第4のクラウド”に、そして教育分野での活用促進に貢献したい
最後に、西村さんにkintoneエバンジェリストとしての今後の展望をお聞きしました。
「今後の展望は2つあります。1つ目はcybozu.comを世界3大クラウドサービスであるAWS・Azure・GCPに加え、『4大クラウド基盤』と認知されるようなクラウドサービスに育てることです。これは夢ではなくて、実現可能なことだと思っています。そう思うのは、以前から興味のあった『IoT』への取り組みについての経験があります。『キンコミ』にも投稿した温度センサーをkintoneに連携できたことです。(以下キンコミの投稿から抜粋)
『IoT』って興味はあったけど自分でどうしていいかわからない。どこか他人事な感じがあったのですが、本記事のおかげで、なにか『IoT』が自分のものになったような気がして。『そう僕たちにはkintoneがあるじゃないか!』『cybozu.comという純国産クラウド基盤があるじゃないか!!』と一人で盛り上がってしまいました。
これをきっかけに『kintonexIoT』に興味のある仲間と有志で『kintone IoT部』なる活動も始めています。『kintonexIoT』の分野から実績を積んで、ゆくゆくはkintoneを“4大クラウドサービス” と認知されたいし、またそれができる基盤やユーザーをkintoneは持っています。
そして2つ目は、教育分野におけるkintoneの活用促進です。2025年より『情報』が大学入試の基礎科目として追加されます。これに関して、kintoneは情報基礎を学ぶ教育用ツールとして大きな役割を担うことが可能だと考えています。サイボウズさんは学校などの教育機関へのサポートも充実していますし、学校側もインフラとしてkintoneを導入しやすい、またJavaScriptによるカスタマイズも可能です。手を動かさないと分からないコンピューターの面白さを、kintoneを通して伝えたいです。」
西村さんありがとうございました!
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