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プレス工場からITの世界へ。“楽しい”を手放さずに、kintoneとコミュニティの面白さを外に出し続けたい

執筆者の写真: キンビーズ応援団(Cybozu)
キンビーズ応援団(Cybozu)
6 時間前
読了時間: 8分

Pulsar Works株式会社

石際 健一郎さん

岐阜の紳士服プレス工場で働いたのち、職業訓練をきっかけにプログラマーへ転身した石際 健一郎さん。名古屋のサイボウズ製品を扱う会社でkintoneに出会い、現在は独立してkintoneに関わるお仕事をしています。


以前はkintone Café 名古屋の運営に携わり、コミュニティ内でのライトニングトークでは技術的な話を“楽しく”届けてきました。今回はそんな石際さんに、これまでのキャリアとkintoneとの出会い、コミュニティでの活動、そしてこれからkintoneを通して見たい景色についてお聞きしました。

プレス工場から職業訓練の“残り一枠”でプログラマーへ、巡り巡ってkintoneに出会う


意外にも、石際さんの社会人としてのスタートはITとはまったく関係のない場所でした。出身は繊維の町として栄えた岐阜県岐阜市。最初に就職したのは、紳士服の仕上げを行うプレス工場だったそうです。


「海外で縫製されたスーツは、日本に届いたときには雑巾みたいにくしゃくしゃなんですよ。それがコンテナごとトラックで岐阜まで運ばれてきて、僕が開けて中の服を取り出す。針が残っていないか検針して、ハンガーに通して蒸気で膨らませて、最後にアイロンで仕上げる。そういう仕事です。自分でトラックも運転しましたし、工場のラインを設計したり、売上や在庫の計算をしたりもしていました。小さな工場の動きがなんとなく分かるというのは、プログラマーになってからお客様の業務を理解するのにすごく役立っています。」


3年ほど勤めた後、手に職をつけようと職業訓練校の門を叩いたところ、プログラマーの枠がちょうど一つだけ空いていたそうです。


「もともと大学では数学を勉強していて、数学は大好きだったんですけど、全部が理解できていたわけではなかったんです。それがプログラムを学ぶと、『昔学んだあれは、こういうことだったのか』と繋がってくる。それが面白くて、どんどん勉強してしまいました。今もそうです。みんながみんな楽しいことを仕事にできるわけじゃないので、それを仕事にできている今はすごく幸せだなと思っています。」


職業訓練を担当していた会社にそのまま就職し、SESとして大手製鉄所のシステム開発に携わった石際さん。製鉄所で担当していたのは、50ほどある工程に鉄をどう流すかを最適化する「計画系」のシステムでした。毎日データベースに触れるなかで、データそのものへの興味が育っていったそうです。


その後、名古屋でサイボウズ製品を中心に扱う会社に転職したのが2019年頃。そこで初めてkintoneに触れました。


「あんなに苦労して作っていたデータが、kintoneにこんなに簡単に貯められるんだと。それまではデータベースを作っても画面がないから、画面も何か月もかけて作っていたわけです。それが、画面を作ったらもうデータベースもできている。『今まで何をやっていたんだ』と思いました。もちろん弱点もありますが、何でもできて時間がかかるものと、多少制限はあっても早いものは、用途に合わせて選べばいい。だからこそすごく面白い製品だと思ったんです。もしプログラマーになっていきなりkintoneを触っていたら、データに興味がないので、そこまで魅力を感じなかったかもしれません。」


前職ではお客様の話を聞き、それを解釈してプログラマーに渡す役割を担っていたそうです。


「現場の誰もプログラムを見たことがないまま、画面はこんな感じで……と空中戦ばかりして、最後にシステムが出てきてから、ああでもないこうでもないと言う。kintoneならお客様の目の前で『こんな感じですか?』と作れますよね。その話の速さは今でも本当に素晴らしいと思います。それに、製鉄所の業務しか知らなかった僕のところに、いろいろな業種の方が次々と来てくださる。それも楽しかったですね。」

修羅場をともにした森田さんに導かれ、コミュニティの存在を知った


石際さんがコミュニティに足を踏み入れたきっかけは、同じ東海エリアで活動するサイボウズ公認 kintone エバンジェリストの森田 諭さんとの出会いでした。


「森田さんがすごく大変な案件にぶつかってしまって、うちの会社がヘルプに入ったんです。コロナの時期で、本当に大変な仕事でした。でも、そういう仕事を一緒に乗り越えると、同じ戦場をくぐり抜けた仲間のような絆が生まれるんですよね。それで仲良くなりました。」


その森田さんから声がかかったのが、kintone Café JAPANでの「1時間でkintoneアプリを作る」という企画でした。


「kintone Caféには行ったこともないのに、いきなり『これやって』と言われたんです。オンラインで100人くらいが見ているなかで、在庫管理アプリを1時間で、説明しながら作りました。それが一番最初です。ほかの方の発表を見て、面白い人たちがいて、コミュニティというものがあるんだと初めて知りました。

そこから『名古屋でもやりたいね』という話になり、止まっていたkintone Café 名古屋をもう一度リブートすることになったんです。それまではkintone hiveにも行ったことがなかったのに、だんだん『こういう世界があるんだ』と見えてきました。森田さんは僕にとって、まさに“エバンジェリスト”でした。」


その後は名古屋と、出身地である岐阜のkintone Caféの運営に携わり、神戸や大阪など各地のCaféにも足を運ぶように。「今度はうちにも来てくださいね」と行き来するうちに、つながりが広がっていったそうです。


「使命感があって始めたわけではなく、本当に『面白そうだな』という好奇心からです。今は運営からは離れて、参加者として楽しんでいます。参加者として行くと、LTも大事だけれど、同じ席に座った人と楽しく会話することが意外と大事なんだなと気づきました。」

独立して“売上の100%がkintone”に。自分が楽しんでいることは、お客様にも伝わる


勤めていた会社では開発担当の役員を務めていた石際さんですが、理想とするkintoneやクラウドの開発を追求したいという思いから、まずは半分だけ会社に籍を置き、個人事業を始めたといいます。


「最初は半分だけで始めてみたら個人事業のほうが意外と伸びてきて、こちらをやりたいと自分から言って退職しました。最初は半分kintone、半分普通の開発でしたが、今は売上の100%がkintoneです。開発メンバーは3人ほどいますが、会社としては一人なので、フットワークは軽いですね。」


出会った頃と今とで、kintoneへの印象に変化はあるのかも伺いました。


「あまり変わらないですね。新しい機能がついても見た目が大きく変わらない。いつまでもkintoneはkintoneとして残っていてくれるから、それをベースに考えられるのがいいところだと思っています。ただ、kintoneを介して関わってくれる人たちは次々と新しい人が来てくれるので、そこにはいつも新鮮さを感じます。やっぱり、自分が楽しんでいることはお客様にも伝わるんです。製品を自分が楽しんでいるから、ほかの人にも伝わる。それが一番重要だと思っています。」

“楽しい”をそのまま出す。良いものも悪いものも、ボコボコ生まれる世界へ


石際さんのLTや発信を見ていると、難しそうな話をしているのに、とにかく“楽しさ”が伝わってきます。その発信の根源にあるものを伺いました。


「僕は技術者なので、一般の業務をされている方とは感覚がずれているんです。自分が楽しいと思うところと、ほかの人が楽しいと思うところはずれている。でも、『楽しい』と思っている感情は伝わるんじゃないかと。だから、ずれていると自分で感じても、そのまま出すのが大事だと思っています。コミュニティは、それぞれが楽しいところを持ってくる場所としてすごくいいところです。


もう一つは、あまり追いかけないことですね。一時期は、どれくらいの人に伝わったんだろう、もっとkintoneを広めるにはどうしよう、とすごく考えていた時期もありました。でも、広めることを目的に活動するのは、自分には向いていないと気づいたんです。それよりも、純粋に楽しい気持ちを持ち続けること、続けることのほうが大事だと今は感じています。『これは僕が楽しいと思ったことですが、どうですか?』と投げかけるだけにして、影響力のようなものは、個人的にはシャットアウトしています。」


影響力を手放したからこそ、純粋な“楽しい”が届く。非常に説得力のある素敵なお言葉ですね。

そんな石際さんがkintoneの面白さとして挙げるのは、製品そのものに加えて、コミュニティ、そして“共通言語”としてのkintoneです。


「kintoneの面白さの6割くらいは、コミュニティの面白さなんじゃないかと思っています。知らない会社でも、kintoneのアプリを見ると『こういうふうにしようとしているんだな』と理解できたりする。まったく違う業種同士が理解し合うための共通言語として、一つの製品があるのがすごく面白いんです。だから、ほかの人が作ったアプリを見るのがめちゃくちゃ好きで。


kintone Caféで『どこが悪いですか?』と見せてもらうことがあるんですけど、人が頑張って作ったアプリって、それだけで純粋にすごく良いし、面白いんです。だから、悪いところを聞かれても答えられないことがあります。(笑)仕事なら『ここはキーで統一しましょう』と言いますけど、kintone Caféの場なら『頑張って作りましたね、すごく面白いです』と率直にお伝えしています。」


最後に、kintoneを通して描く理想の世界についてお聞きしました。


「僕は、楽しいものが生まれてくるのが好きなんです。アプリもカスタマイズも、もっと大量に生まれてきて、製品もボコボコできて、『わーい!』となっている感じが理想ですね。『あれやってみた』『これ試してみた』『できなかった』みたいなものが次々とできている状態。それがいいものであれ悪いものであれ、ボコボコ生まれている状態が好きなので、それを目指したいです。」


自分自身が“楽しい”を出し続けることで、誰かの「やってみた」が生まれていく。そんな循環を楽しみながらつくっていきたいと、インタビュー中も終始楽しさを全面に出しながらお話くださいました。

石際さん、ありがとうございました!

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