「面白い」に熱中した経験が、仕事の可能性を広げていく。製造業から病院の院内SEへ、挑戦を続けるエバンジェリスト

小堀 範行さん

Xやブログでは「Hazime」さんの名前で知られる小堀さん。kintoneと出会ったのは2020年1月、メーカーの品質保証部門に勤めていた頃でした。
当時は、紙の記録をめくりながら、手作業でデータを集計する日々で色々な課題が山積みでした。そんな業務を何とか変えたいと、Excel VBAからはじまり、Windowsのシェルスクリプト、Webアプリケーション開発、AWS、RPA、IoT、ネットワークなど、さまざまな技術を貪欲に学んでいたといいます。
「限られた環境の中で、何ができるんだろうって、いろいろ試していました。うまくいって形になったものもありますが、当時はなかなか成果につながらないことも多かったです。
手当たり次第に手を出していたので、中途半端になっている感覚もありました。でも、面白さのほうが勝っていたので、ダメならほかにどんな方法があるか試してみよう、という感じでした。
それぞれの技術にはつながっている部分もあって、学んでいくうちに『あっ、これがこうってことは、あれがそういうことか!』と、バラバラだった知識がつながる瞬間があり、そんな発見に小さな喜びを感じていました。
その経験があるからこそ、今、新しいことに直面して、なかなか理解が追いつかないときでも、『学んでいけば、どこかで知識がつながって理解できるときがくる』と思えています。
まずは、自分より詳しい人に質問できるくらいまで理解することから始める。そう考えることで、知らないことに挑戦する心理的なハードルも下がっていますし、結果として、現場で行き詰まったときに突破口を探す力にもつながっていると感じています」
そんな試行錯誤の中で出会ったのが、サーバーの保守に訪れていたベンダーの担当者から紹介されたkintoneでした。
「自分で勉強していて、すごくコストがかかるなと思っていたことが、kintoneだとこんなにサクッと作れちゃうんだと。しかも、ネットで調べてみると、当時私が勉強していた技術を使ったkintoneの活用術について、kintoneをすでに使っている先輩方が発信してくれているじゃないですか! 今の課題を解決できるだけでなく、それまで勉強してきた技術も生かして、いろんなアイデアを形にできる。これは面白いぞと思って、衝撃を受けました。
あとは、当時、システム部門に所属していない中で、上司や同僚が理解して後押しをしてくれたのも大きかったです。いろんな縁が重なって、出会うべきタイミングで出会えたんだと思います。そこから、どっぷりハマっていきました」
ブログは「自分のためのメモ」。kintone hackを目指して熱中した日々
kintoneとの出会いからわずか3か月で導入を実現。出張の途中、kintone hiveの開催地で途中下車して見学するほど、kintoneへの関心は高まっていきました。
Xやブログでの発信を始めたのも、この頃です。
「当時、WordPressも勉強していたので、『ちょっと自分でブログを運営してみようかな』と思って(笑)。最初は誰かに読んでもらうためというより、自分のためのメモという意味合いが強かったです。
いざ、kintoneのカスタマイズについて記事を書いて発信してみると、同じようにカスタマイズを勉強している方から反応をもらえるようになって。そこからカスタマイズ仲間もできたんです。
コロナ禍には、imoniCampというkintoneカスタマイズを学ぶコミュニティで、レビュー会をしたり、オンライン飲み会で盛り上がったり。仲間の発想に刺激をもらい、師匠と呼べるような方との出会いもありました。一緒に学び、挑戦できる仲間ができたことは、すごく励みになりました。そこで出会った仲間と一緒にkintone hackにも挑戦して、本当に楽しかったですね。
当時は本当にkintoneのカスタマイズが面白くてしょうがなくて、ひたすら熱中していました。楽しみながら勉強して、作ったものを発信する。その繰り返しでした!」
そんな発信が多くのkintoneユーザーの目に留まり、「カスタマイズを検索すると小堀さんのブログが出てくる」と言われるほどに。仲間と挑戦したkintone hackでは、念願の本戦(kintone show+case unlimited)にも出場し、サイボウズ公認のkintoneエバンジェリストに就任しました。
その後、IT企業に転職し、開発する側の立場からシステムづくりに携わる経験も積みました。技術を学び、自ら手を動かしてきた経験に、開発の現場で得た視点が加わったことは、現在の仕事にもつながっています。
現場とベンダーと一緒に、グータッチしたくなるものづくりを
2025年9月から勤める医療法人では、総務兼任の院内SEとして幅広い業務を担当している小堀さん。限られた人員や予算の中で、現場にとってよりよいシステムをどう実現するか、日々試行錯誤を重ねています。
「いろんな制約がある中で、どうやったら現場にとっていいシステムを作れるのか、いつも考えています。そのために今取り組んでいることの一つが、システムベンダーさんとの関わり方を変えることです。病院側から要望を出して、ベンダーさんに作ってもらうだけではなく、こちらからアーキテクチャを提案したり、自分でコードを書いたりしながら、一緒に設計・開発を進めていける関係づくりを進めています。
私自身もエンジニアとして、ベンダーのエンジニアの方とも切磋琢磨しながら、一緒にいいものを生み出せる関係になれたらうれしいです。
それを可能にしてくれるのが、kintoneを基盤にした開発だと思っています。総務も兼任しているので、専任の開発チームがあるわけではありません。それでも、kintoneを軸にほかの技術を組み合わせたり、現場のメンバーと一緒に課題や解決策を考えたりすることで、自分たちでできることを広げていくことができます。
また、スペースやアプリのアクセス権を工夫したり、スレッドでコミュニケーションを取ったりすることで、役割や責任の境界を見える化し、協働プロジェクトを進めやすくしています。
予算や人員が限られているからといって、できることまで限られてしまうわけではない。仕事の進め方や技術の使い方を工夫することで、もっといいものを作れるんじゃないかと思っています。
そして、最後には思わずメンバーとグータッチしたくなるような、そんなものづくりをしていきたいです」
面白いことに熱中するところから始まり、技術を身につけ、発信を通じて新たな出会いを重ねてきた小堀さん。現在は医療の現場で、kintoneを軸に技術や人との関わり方を工夫しながら、できることを少しずつ広げています。
現場で悩み、試行錯誤しながら、自分の手で仕事の可能性を広げていく。その経験を、現場と同じ目線、同じ言葉で伝えられることも、小堀さんならではの強みなのかもしれません。
小堀さんの今後の発信も楽しみです。ありがとうございました!




