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執筆者の写真キンビーズ応援団(Cybozu)

「資金の心配が不要な開発を」NPO法人のIT支援変革を目指して

NPO法人のためのIT支援事務所 ht

細谷 崇さん


兵庫県を拠点にNPO法人を対象として、ITの力を活かした支援をする細谷 崇さん。kintoneだけでなく元々はWordPressを得意領域としており、プラグイン開発やコミュニティ活動へ積極的に参加されています。またご自身もNPO法人の理事を務めるなど幅広い活動をされる中、2015年からkintoneエバンジェリストとしての活動をスタート。今回はそんな細谷さんに、kintoneを通してNPO業界へ向ける想いを伺いました。


きっかけは、地域を活性化させたいという想い


5年ほど前からフリーランスのエンジニアとして活動される細谷さん。WordPressとkintoneを得意とする特性を活かして、普段はNPO法人を対象に、Webから入ってくるデータをkintone上で効率よく管理するための支援をしています。

振り返ると2007年に脱サラ、その後NPO法人の設立・運営に8年ほど関わった経歴をお持ちです。まずは、この業界に特化するに至ったきっかけを伺いました。

「大学時代、大学の前にあった商店街をICTで活性化するという活動をしているゼミがあったんです。そのゼミの代表とすごく仲が良く、PCをつかってクリエイティブなことをしてみるきっかけをくれたのが彼でした。そんな彼から、卒業の数年後に一緒に起業しないかと誘われて、賛同し脱サラ。当時兵庫県の宝塚に事務所を置いていたので、そこを中心に『ITの力で街を盛り上げたい』という想いをベースに動き出しました。思い返すと、ここからずっとNPO業界と関わり続けています」

動き出しのはじめに拠点の近くにあった宝塚NPOセンター(NPO法人の設立・運営相談や資金調達のアドバイスなどを行う機関。現在は細谷さんも理事として所属)の門を叩いた細谷さん一同。そこで話した担当の方が、30代前半ながら地域の活性化を目指す細谷さん達の姿に共感。また先方のIT人材の需要がマッチし、業務提携の形でIT関係の困りごとがセンターへ来た際に仕事を回してもらえるようになったそうです。

「実績もない中、宝塚NPOセンターの実績やネットワークをお借りする形で仕事を回してもらえることになったのは、とてもありがたかったです。インターネットの接続から、プリンタの接続をやることもあれば、当時主流だったブログの講習会なんかもやったりと、あらゆるNPO団体のお悩みに向き合いました

 

NPOの悩みに向き合う中、出会ったのがkintone


多くのNPO法人の場合、「正会員」や「賛助会員」をはじめとする様々な会員の種類を管理する必要があります。細谷さんも数ある依頼をこなしていく中で、多くの団体がこの“会員管理”に課題を抱えているという現状を知ったそうです。そんな中、細谷さんとkintoneの出会いが訪れます。

「はじめのころは、会員管理の依頼を受けるとExcelでマクロを組んだものをお渡ししていたのですが、漠然と『Excelだとしんどいだろうな』と感じていました。そんな思いを抱えながら活動を続けていた所、とあるコミュニティイベントを通じてkintoneに出会ったんです」

kintoneをもっと知るために、コミュニティイベントや勉強会へ積極的に参加し始めた細谷さん。「これは流行る!」と感じ、WordPress界隈でも細谷さん主催のkintone勉強会を開催したそうです。当時、他の製品も同時にリサーチをしていた中で、kintoneを選定した理由については次にように語ります。

「当時『Excelのバージョンアップでマクロが動かなくなった』とメンテンスの依頼を受けてわざわざ先方のもとへ赴くことが結構あったんです。kintoneならこういった手間も省くことができるなと思いましたし、クラウド上で情報が管理できる点も魅力でした。

私自身もWordPressに触れてきた身として、基本機能というベースがあってその上にカスタマイズできる、というあり方に馴染みやすかったというのもあります。他のツールも並行して検討していましたが、NPO法人の会員管理にはkintoneしかないなと思いましたね

 

NPOと関わり続けるのは、自分らしくいられるから


起業から現在に至るまで、長きにわたってNPO業界と向き合い続ける細谷さん。この業界に特化して支援を続ける理由についても伺いました。

「戦略でもなんでもなく、宝塚NPOセンターに多くのNPO法人を紹介してもらったところから始まり、流れに身を任せてやってきたら周りにNPOの方々がたくさんいた、というのが理由の一つです。おかげでこの業界には顔見知りも多く、いつの間にか信頼関係を築けている方がたくさんいました。また、NPO法人の皆さんと一緒にお仕事をするからこそのやりやすさも感じています。話す言葉やスピード感、彼ら持つ雰囲気など、簡単な言葉にしてしまえば優しい方が多いんです。自分の性格的に、先方に強めなシステム担当者の方がいて、上から指示される中開発する、みたいなのは性に合っていなくて…(笑)この業界の皆さんと、お互いにわかり合いながら自分らしくお仕事を進められることがすごく自分に合っています」

現在たった1人の体制で、「NPO法人のためのIT支援事務所 ht」を運営される細谷さん。最近は、新規の問い合わせも増加傾向にあるそうです。その理由の一つが、昨年開催された「第2回NPOによるICTサービス活用自慢大会」において、細谷さんの関わるNPO法人「チャリティサンタ」が大賞を受賞したこと。また、NPO法人も対象となっているチーム応援ライセンスの認知拡大も理由に挙げられるそう。一見追い風に見える状況ですが、個人運営だからこその限界と課題も抱えていると語ります。

「NPO法人の特性なのか、毎年すこしずつシステムの形を変えていきたいという声が多いんです。それもあり、正直最近は新規の案件よりも、既存のお客様の業務変化に対応することで手一杯になってしまっている面もあります。自分の性格上、積極的に人を雇うことは今後もしないと思うので…。今はとにかく、これまでお付き合いをしてきた方々を大切に支援していければと思っています。ただそうは言っても1人体制で続けていく以上、請負型の開発だけだと限界があるとも感じています。NPO法人向けに手が届きやすい価格帯のプラグイン販売など、今後は新たな領域にも踏み込めたらと考えています」

 

NPO法人に負担の少ないシステム構築の形をつくりあげたい


最後に今後の展望について伺うと、現在細谷さんが取っている「請負型の開発」に変革をもたらしたい、という想いを語ってくださいました。

「現在の請負型の開発ですと一般的な開発と比べれば安価かもしれませんが、NPO法人から直接お金を頂いてしまっています。限られた資金の中からITツールに投資しなければならない、このやり方に変化を起こせないかな?と思っています。

例えば、NPO法人の活動に共感しているパトロンのような人たちが、資金的な支援をすることができるコミュニティをつくるイメージです。こうすることによってNPOの皆さんが資金面の心配や負担をすることなく、kintoneを始めとするITツールに手をのばしやすい環境を整えていければと考えています。

今kintoneエバンジェリストとして、チーム応援ライセンスの適用範囲であるユーザーさんを対象に活動しているのは、実は私だけです。kintoneに限らず、NPO業界に特化してシステム開発しているというのも、なかなか珍しいのではないかなと思います。この点でも大きな意味を感じているので、今後もkintone エバンジェリストとしての立場を活かしながらNPO業界の支援、そしてkintoneの伝道に力を入れていきたいです!」

細谷さん、ありがとうございました! 

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