薬剤師から kintone に全振りしたキャリア。“名もなき仕事”に光を当て、業務改善を楽しめる会社を増やしたい

株式会社コムデック
吉田 光邦さん

調剤薬局の薬剤師として、そしてマネージャーとして10年以上を現場で過ごしてきた吉田 光邦さん。2021年に出会った kintone をきっかけにキャリアを大きく切り替え、現在は広島に住みながら、株式会社コムデックで全国の中小企業の伴走支援に携わっています。kintone Café 広島の運営メンバーとしても活動中。今回はそんな吉田さんに、これまでのキャリアとコミュニティとの出会い、そしてこれから実現したいことについてお聞きしました。
「もっと効率化できるはずなのに」という声を、10年間聞き続けていた
吉田さんのキャリアは、地元のドラッグストアの薬剤師としてスタートしました。その後調剤薬局大手チェーンで10年以上、薬剤師・マネージャー職として現場に立ち続けるなかで、医療・介護の現場が抱える業務の煩雑さを目の当たりにしてきたそうです。
「行政への届出や法的な書類が本当に多くて、しかも地域や担当者によってルールが違うんです。管理はほとんどエクセルと紙。他にも医療機関や介護支援事業所などの連携先とのやり取りも紙・電話・FAXなどアナログ。『もっと効率化できるはずなのに』『本来の業務に集中したいのに』という声を、現場で何度も聞いてきました。」
転機は2021年4月。調剤薬局や介護施設を運営する企業へ転職し、そこで kintone と出会います。薬局のマネージャー業務を続けながら社内外の介護事業者への kintone 支援に携わるという、現場と IT の両方に足を置く日々が始まりました。
「コードを書かなくても、現場のニーズにそのまま応えるアプリが作れる。それが一番の驚きでした。医療・介護は情報を外に出せない制約もあったし制度への対応もあるので、基幹システムは専用のシステムを使わざるを得ません。でも kintone なら、その“隙間”を埋められるんです。行政への届出管理や事務方の仕事は、ここでかなり変わります。」
長く kintone に触れている人たちに追いつくため、吉田さんが選んだのは体系的に学べるkintone 認定資格から入る道でした。前職在籍中の約2年間で、5つの資格をすべて取得しています。
本部の話だけで作ったシステムは、現場で動かなかった
前職では約4年間、kintone や Garoon の導入・設計・構築・運用支援を実践してきた吉田さん。なかでも印象に残っているのが、複数の介護事業所の管理会計データを一元管理するプロジェクトです。ただし、その立ち上がりは決してスムーズではありませんでした。
「最初は本部の担当者にヒアリングして構築を進めたのですが、現場の意見が十分に反映されていなくて。事業所ごとに運用方法がバラバラになり、データ入力のタイミングも揃わない。まったく回りませんでした。」
そこで吉田さんが取ったのが、事業所ごとに“現場代表”を選出し、現場の声が上がってくる仕組みそのものを作るという方法でした。
「現場代表を通してフィードバックが集まるようにして、それを反映しながら運用プロセスをシンプルにしていきました。結果として集計は自動化され、各事業所の状況がリアルタイムで把握できるように。特に IT スキルにバラつきのある介護の現場では、現場代表を中心に声を反映させることが定着の鍵なんだと学びました。」
さらに印象的なのは、当初「新しいことにチャレンジしたくない」と話していた職員の方が、最終的には自分でアプリを作り、データ化を楽しめるようになったことだと語ります。
そして2025年1月、吉田さんは「kintone に全振りして挑戦したい」という想いで株式会社コムデックへ転職します。コムデックとしては初となる、入社時からのフルリモート正社員でした。現在は建設業、製造業、小売業、医療介護業など幅広い業種を担当し、約40社ほどの伴走支援に携わっています。最近では、例えば福祉関係の会社でkintoneとAIを連携・活用した、日々の記録から計画書などの手間のかかる書類作成の大幅な効率化支援を実施したりしています。これによって人は本来するべき利用者へのサービスに集中できる体制を作れています。
「業種が変わっても、やることの本質は同じです。お客様の“言葉にならない想い”を汲み取って、潜在的な課題を掘り起こす。現場と kintone 支援の両方を経験したからこそできる提案があると思っています。」
コムデックでの取り組みとして、ご当地勉強会の企画・運営にも携わっています。サイボウズさんの各地方のオフィスと連携してkintone×AIの活用を皆で学びあおう、という場を作っています。広島・松山・福岡・東京でこれまでに開催しており、今後も各地に広げていきたいと思っています。
「運営やってみたいです!」から始まった、kintone Café 広島
吉田さんがkintone Café 広島に参加し始めたのは、前職のチームメンバーに誘われたことがきっかけでした。そしてこの場所が、サイボウズ公認 kintone エバンジェリストとの出会いの場にもなります。
「運営メンバーでありエバンジェリストでもある松田さんや前田さん、元エバンジェリストの安藤さんと出会いました。特に松田さんとは最初にお会いしたとき、『業務改善職』という名もなき仕事に光を当てようとする姿勢に強く共感しました。懇親会で『運営やってみたいです!』と伝えたら、『いいじゃん、やろう!』と背中を押してくださったんです。そこから運営メンバーとして活動を始めました。」
kintone Café 広島は開催回数が多く、参加メンバーの熱量が高いことで知られるコミュニティ。参加者が持ち寄ったテーマをみんなで解決するお悩み相談会形式が中心で、昼から始まった会が懇親会を経て深夜まで続くこともあるといいます。
「仕事とはまったく別の場で、kintone を使っているユーザー同士が集まって話せる。共通言語があるから、話が尽きないんですよね。」
その後、エバンジェリストの飯塚さんが運営するポッドキャスト「学びとつながりとキントーン」にも3回ゲスト出演。X や note でも、kintone Advent Calendar への参加をはじめ、「すごくなくてもいい」という意識を大切にしながら発信を続けています。
「エバンジェリストの方々に共通して感じたのは、kintone への“あふれんばかりの愛”と、それを惜しみなく発信し続ける情熱です。松田さんとポッドキャストで対談したときの『コミュニティって、やっぱり出会いと応援なんだよね』という言葉が忘れられません。実際、思ってもみなかった機会や出会いがあって、自分自身も成長できたと実感しています。」
“名もなき仕事”に光を当て、業務改善を楽しめる会社を増やしたい
最後に、これから実現したいことについて伺いました。吉田さんが挙げたのは、業務改善に取り組む人たちそのものへのまなざしでした。
「業務改善に取り組んでいる人って、本業の片手間でやらされていて評価されにくいんです。役割に名前すらついていない。でもその先には確実に企業価値の向上がある。現場の意見を吸い上げて業務改善の橋渡しをする人たちがもっと生き生きできたら、日本の会社も元気になると思っています。だからこの“名もなき仕事”がいかに重要でやりがいのあるものかを発信して、同じ志を持つ人を増やしたいんです。」
吉田さん自身、IT のバックグラウンドを持たない薬剤師からのキャリアチェンジでした。だからこそ、kintone は非 IT 人材にとっての武器になり得ると確信していると語ります。
「薬剤師からでも、介護職からでも、営業職からでも、現場を知っている人が IT を活用して業務改善を進められる。私が目指したいのは、単に業務を効率化することではなくて、『業務改善を楽しめる』文化を広げることです。もちろんその先に付加価値の向上もあります。そして kintone Café 広島の運営を通じて地域のユーザー同士が繋がり学び合う場を作り続けることで、広島だけでなく全国の中小企業の DX 推進を加速させていきたいですね。」
「自分がどこまで通用するか試してみたい」——そう語る吉田さんの挑戦は、まだまだ続いていきます。これからの活動が楽しみです!
吉田さん、kintone への熱い想いを聞かせていただき、ありがとうございました!




