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  • 執筆者の写真キンビーズ応援団(Cybozu)

「地域医療とkintone」異なるフィールドでのコミュニティ活動を経験し、今後は心を動かす発信を支える場作りを目指す

更新日:2021年10月29日

医療法人社団 敬崇会 猪原歯科

リハビリテーション科 医療情報・広報部

前田 浩幸さん

広島県福山市にある猪原歯科・リハビリテーション科にて、医療とITを繋ぐ役割である医療情報技師として勤務し、院内におけるkintoneを始めとしたIT活用をリードする前田 浩幸さん。2018年にはkintone hive osakaへ登壇し、kintone Café広島やkintone Café Japanの運営などのコミュニティ活動にも積極的に関わっています。そして、2019年からkintone エバンジェリストとしての活動をスタートしました。今回はそんな前田さんに、現在のお仕事のきっかけ、ご自身のコミュニティ活動の経験、そして今後の活動のあり方についてお話を伺いました。


東京から広島へ。kintone活用を担う立場として入社、現場を知ることから始めた業務改善


まずは現在務める猪原歯科への入社のきっかけについて伺いました。学生時代、都内の大学と神奈川の大学院で医療情報学を学んでいた前田さん。学部時代の指導教授と当時副院長を務めていた猪原歯科の 猪原健さん(現在は理事長を務める)の繋がりが、入社のきっかけとなったそうです。


「もともと上司と、私の指導教授が学生時代からの知り合いで、上司から教授に対して良い人材はいないか?と相談がありました。そこから私に声がかかったのですが、東京から広島への就職となると即断即決は出来ませんでした。そこで、大学4年生のときに初めて広島へ見学に訪れ、猪原歯科への入社を決めました」


当時の猪原歯科では、業務にあっていないシステムを使っていたため、情報共有が効率的にできず、それに伴う残業時間の増加により退職者が出ていたことが課題でした。そんな時、とある事例から医療現場での情報共有にkintone が活用されていることを知った猪原 健さん。自院でもITの力で業務を効率化する必要性を痛感しながらも、専任の担当が必要だと感じていました。そこへ縁あって2016年、”kintone 担当“としての役割を期待され入社したのが前田さんでした。入社後、まず前田さんが取り組んだことは、“現場を知り信頼関係を構築すること”だったと振り返ります。


「いきなり『システム担当です』と入っていっても、良いシステムが作れるとは思いませんでした。なので最初の半年は、現場の皆さんがどんな風に働いているかを知ることから始めました。とにかくなんでもやりますという姿勢で、雑用から訪問診療の見学まで、様々なチームに帯同し業務への理解を深めました。この期間は、チームに入って信頼関係を構築するのと同時に、現場の問題の核を整理するためにとても大切な時間でしたね。そしてそれを踏まえた上で、本格的にkintoneの構築に着手していきました」


(当時の前田さんのkintone構築のエピソードについて、より詳しい内容はこちら

 ・キンスキラジオ#59 「『最初の半年はkintoneを触らなかった』改善までの取組みをエバンジェリスト 前田さんに伺う」

 ・kintone hive osaka レポート「ムダな残業で優秀な人材を失うな 医療現場の非効率を改善したkintone活用法」)


 

猪原歯科を中心としたコミュニティ活動の経験、そしてkintone Caféの開催


信頼関係を作りシステム構築に入っていく傍らで、“広報”としての役割も期待されていた前田さん。猪原歯科では、『外来診療・訪問診療』という医療の他に、もう一つ『地域』という柱を大切にしており、“地域との関わりの場をつくる”というミッションを持っていました。そして前田さんは、猪原歯科を地域のハブ拠点としたコミュニティ活動にも邁進していきます。


「例えば、猪原歯科には“食支援の情報拠点でありたい”という意味を込めて、施設内へ入ってすぐにキッチンがあります。そこを利用して、見た目にもおいしい嚥下食を作るイベントを開催しました。また、医療的ケア児を持つ親御さんは日々の生活に追われてしまう方が多く、なかなか得るべき情報に出会えないことが多いのですが、そんな方々向けに猪原歯科を開放し情報交換の場として提供したりもしています。このように、猪原歯科を地域コミュニティの中心として活用してもらう活動をしてきました


普段から「目の前の患者さんに向き合うだけでなく、地域全体を俯瞰すること」を社内の共通理念として大切にしているという猪原歯科。前田さんのご経験からも、猪原歯科にはコミュニティ活動に関わる文化が深く根付いていることが伺えます。そしてその文化があったことによって、前田さんも運営として関わるkintone Café 広島が、猪原歯科の会場提供のもと開催されたこともありました。


「私自身kintone を使い始めた時、どう情報収集をしたらいいのかすごく悩んでいたんです。広島でkintoneを使っているのは僕一人なんじゃないかって思ったこともあるくらい(笑)そんなときサイボウズの方に紹介してもらったのがkintone Caféの存在で、すぐに広島で開催していた会に参加しました。その時、主催をされていた安藤さんと和田さん(※1)が知識を惜しみなく提供してくれる姿勢がすごく嬉しくて。そこから参加を重ね、徐々に自分も運営に関わるようになって行きました。コミュニティという点で、猪原歯科との相性も非常に良く、何度か猪原歯科の会場を使って開催もしました

(※1)安藤さんと和田さん…kintone Café 広島の運営メンバー。安藤 光昭さん、広島を拠点に活動するkintone エバンジェリスト。和田 学さん、kintone ユーザーの立場から現在はR3 インスティチュートにてkintoneに関する提案、構築、相談を行う。

 

kintone Caféを通して、主体的に運営するおもしろさを知った


猪原歯科の一員としての立場、kintone 導入担当ユーザーとしての立場、2つの異なる角度からコミュニティ活動に携わってきた前田さんですが、kintone Caféに関わり始めたことでより主体的に行う場作りの面白さを実感したと語ります。


「2つのコミュニティ活動の中で大きな違いがあったのは、テーマ決定の部分です。猪原歯科で行っていた活動は上司のニーズを受けて、いかに実行するかを組み立てていくのが私の役目でした。ですがkintone Caféの運営では、どこにニーズがあって参加者の方が何を聞きたいのかを主体的に考える必要がありました。そこが、同じ “場づくり“を担う立場でも大きく異なる点でした。kintone Caféに関わり始めた当初は、純粋に楽しいという気持ちで関わっていたのですが、より自分ごと化されたテーマの中で場づくりをするおもしろさに目覚めていきました


これまでkintone Café 広島から始まり、kintone Café Japan・kintone Café Onlineと様々なkintone コミュニティ運営に携わってきた前田さん。数々の企画を経験してきた中で、大切にしているポイントがあるそうです。


あくまでもニーズや課題ありきで企画を進めることを重要視しています。最近開催できてないからやらなきゃ…のようなノルマを感じる動機での開催よりも、一回一回の濃度や共に運営するチームの共感を大切にしながら、価値のある時間と場を創出できるように心がけています


 

より多くの人が、より多くの人の心を動かす発信ができる場作りを


最後に、kintone エバンジェリストとしての今後の活動のあり方についてお話を伺いました。近年kintoneをいかに構築するかについての発信はたくさんある一方で、現場の人に寄り添う際の経験談が語られる場が少ないと感じているという前田さん。kintoneの活用においては、機能的にどう使うかももちろん大切ですが、導入担当が現場でどう振る舞うかも同じくらい大切だと語ります


「現場での立ち回り方のような内容は、個人のキャラクターや経験・現場の関係性にもよってくるのでなかなか体系化することが出来ません。だからこそこうした経験談を、できるだけ多くの人が共有して語ることに大きな価値があると思っています。ただ、このようなエピソードはSNSなどのテキストベースでただ発信すれば良いという訳ではありません。いかに人の心を動かすかも大切なポイントで、“一つの物語”として人の口から語られることに意味があると思っています。そうなってくると必要なのはやっぱり場ですよね。私自身、外部に情報発信することでコミュニティに貢献することも一つの大切な活動の柱だと思っていますが、今後はそれぞれの現場担当の方が持つ大切な物語を発信し合える場作りに、よりコミットしていきたいと思っています」


前田さん、ありがとうございました!

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